口腔筋機能療法(MFT)について

子どもの口呼吸や舌を前に突き出す癖が歯並び・噛み合わせに悪い影響を及ぼすことをご存知でしょうか?

口腔筋機能療法(MFT)とは

・歯並びを悪くする習癖の改善

口腔筋機能療法(こうくうきんきのうりょうほう)とは、歯並びに悪影響を及ぼす習癖を改善するためのトレーニングです。唇・舌・お口周りの筋肉を鍛えることで、悪習癖を取り除くと同時に、歯並びへの悪影響を防ぎます。その結果、「噛む」「飲み込む」「話す」「呼吸する」といった、生きていく上で最も重要な機能を正常化することができるのです。

(MFT ; Myofunctional therapy)


改善が必要な悪習癖

次に挙げるような悪習癖は、口腔筋機能療法で改善するのが望ましいです。放置すると、さまざまな歯並びの異常をもたらします。

・口呼吸

口呼吸は、お口周りの筋肉を弛緩させ、骨格の発育を遅らせます。そうなると歯をきれいに並べるためのスペースが不足するため、出っ歯や乱ぐい歯などが誘発されるのです。さらに口呼吸では、口内乾燥によって唾液による自浄作用・殺菌作用・歯の再石灰化作用が弱まることから、虫歯や歯周病、風邪などの感染症にもかかりやすくなります。

・舌突出癖

舌を前に突き出す舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)は、出っ歯や開咬(かいこう)を促します。

・低位舌

舌は本来、お口の天井部分である口蓋(こうがい)に接触していなければなりません。それが低い位置で安定している状態を低位舌(ていいぜつ)といいます。低位舌は、上の歯列弓の狭窄を招いたり、下の歯列弓が必要以上に広がったりするなどの悪影響をもたらします。


MFTの訓練方法

お口周りの筋肉は、次の方法で訓練します。

①舌の位置の訓練

舌の正しい位置を理解し、その位置を維持できるようにする訓練です。口蓋に舌を置くことを基本とします。これは話す時や嚥下する時、そしてリラックスしている時にも重要です。

②咀嚼と嚥下の訓練

咀嚼と嚥下の動きを正しく行うための訓練です。適切な咀嚼動作は、唇を閉じた状態で食物を十分に噛むことが含まれます。また、正しい嚥下動作は、舌が口蓋と接触している状態で飲み込むことを含みます。

③口呼吸から鼻呼吸への移行

鼻呼吸が自然で快適なものとなるように訓練します。これは特に睡眠時に重要で、鼻呼吸により良好な睡眠を促進します。

④口腔周囲筋の訓練

口腔周囲筋の強度と柔軟性を向上させる訓練も行います。

これらの訓練は、さまざまな器具を適宜、使用しながら進めていきます。MFTの効果は即座に現れるものではありません。訓練の結果が見えるまでには数週間から数ヶ月かかることがあります。ただし、その結果として得られる口腔機能の改善は、健康的な生活に大きく貢献することが期待されます。